仕事
AI活用はプロンプトより「型」づくり|料理のレシピに学ぶ仕事の任せ方
よりみちFIREへようこそ。FIREまで、今日も寄り道しながら考えていきます。
AIのプロンプトのコツを紹介する記事は、たくさんあります。
「最初に役割を与える」「具体的に書く」「条件を箇条書きにする」。どれも役に立つ知識です。それでも、記事を読んだ直後は分かった気になるのに、次の日にはまたゼロから依頼文を考えていることがあります。
ここで、考え方を少し変えてみます。
大切なのは、毎回プロンプトを上手に書くことではありません。AIに、どの仕事を、どの手順で、どこまで任せるのかを決めることです。
料理にたとえるなら、毎回その場でレシピを発明するのではなく、よく作る料理のレシピを残し、何度も使いながら改良していくイメージです。
AI活用で積み上がる資産は、うまく書けた一回のプロンプトではなく、何度も使える仕事の型です。毎回レシピを考えず、使える型を残す
私たちの仕事の多くは、完全に新しいものではありません。メールを要約する、資料から必要な情報を抜き出す、文章を整える、会議の内容を整理する。形は違っても、似た作業を何度も繰り返しています。
それなのに、作業のたびに「今回はどう頼もうか」と考えていると、毎回が初めての料理のようになります。材料をそろえたあとで、分量も火加減も盛り付けも、その場で考える。うまくいく日もありますが、味は安定しませんし、作る人も疲れます。
家庭料理でも、何度も作る料理には自分なりのレシピがあります。
「玉ねぎは先に炒める」「調味料はこの順番で入れる」「最後に味を確認する」。こうした手順を一度まとめておけば、次からはレシピを見ながら作れます。使ったあとに「少し薄味だった」「この順番の方が早かった」と書き足せば、レシピは自分向けに育っていきます。
AIの仕事も同じです。繰り返す作業について、役割、手順、出力形式、注意点を一つのファイルにまとめておく。次からは、そのファイルを呼び出して使う。これが、毎回プロンプトを考える状態から抜け出す方法です。
そのファイルを「スキル」と呼んでも、「テンプレート」と呼んでも構いません。名前より大切なのは、頭の中やその場限りのチャットで終わらせず、仕事のやり方を再利用できる形で残すことです。
私自身も、よりみちFIREの発信を続けるために、ブログ編集部や動画制作部などのフォルダーを作り、部署ごとの手順書をMarkdownで残し始めました。記事を作るたびに修正点が出ますが、その修正を次の手順書へ戻すことで、同じ説明を繰り返す場面が少しずつ減っています。
固定する手順と、AIに考えさせる部分を分ける
AIに同じ依頼をしても、毎回少しずつ違う答えが返ってくることがあります。これを言葉の選び方だけで解決しようとすると、プロンプトを何度も書き直すことになります。
料理のレシピでは、毎回変える必要がない部分を固定します。材料の量、下ごしらえの順番、火を止めるタイミング、盛り付けの形式。そこを毎回悩む必要はありません。
一方で、冷蔵庫にある材料で何を作るか、味を少し濃くするか、家族の好みに合わせてどう変えるか。こうした判断には、その日の状況に応じた工夫が必要です。ここは考える価値があります。
AIに任せる仕事も、このように分けます。
- 見出しの構成や確認項目など、毎回変えないものは固定する
- 文章の長さや出力形式など、守るルールを決めておく
- 内容の整理やアイデアの選択など、判断が必要な部分はAIに考えさせる
つまり、AIにすべてを自由に考えさせるのではなく、手順の土台を用意したうえで、頭を使ってほしい部分だけを任せるのです。
さらに、決まりきった処理はコードにすると安定します。同じ入力に対して同じ処理を行う部分は、AIにその場で考えさせず、コードとして実行する。コードを書くこと自体はAIに手伝ってもらえるため、プログラミングが得意でなくても始められます。
AIに賢く答えさせる言葉を探す前に、固定する部分と判断を任せる部分を分けることが先です。一冊の万能レシピではなく、小さなレシピを組み合わせる
型づくりに慣れてくると、「これ一つで何でもできる型」を作りたくなります。要約も、整理も、文章作成も、返信案づくりも、全部まとめて任せられたら便利そうです。
しかし、何でも入った巨大なレシピは、かえって扱いにくくなります。料理の下ごしらえから調理、盛り付け、片付けまでを一枚の複雑な手順書に詰め込んだら、どこで失敗したのか分かりにくくなります。
だから、型は小さく分けます。
- 要約専用の型
- 情報整理専用の型
- 文章作成専用の型
- 誤りを確認する型
- 返信案を作る型
必要なときは、小さな型を組み合わせます。たとえば、「メールを要約する」→「返信案を作る」→「誤りを確認する」という流れです。
一つの型を改善すれば、それを使っている複数の作業に効果が広がります。要約だけがおかしければ要約の型を確認すればよい。文章の長さだけを変えたいなら、文章作成の型だけを直せばよいのです。
料理でも、基本のだし、下ごしらえ、味付け、盛り付けを別々の技術として持っていると、さまざまな料理に応用できます。一つの料理だけに使える巨大な手順より、小さな技術を組み合わせる方が、長く使えて修正もしやすくなります。
AIにお願いする人から、仕事のレシピを育てる人へ
ここまでの話は、すべて同じ方向を向いています。
AIに毎回その場でお願いするのではなく、自分の仕事のやり方を、AIが再利用できる形にしていく。言い換えれば、自分の仕事のレシピを作り、使うたびに改良していくということです。
その場だけのプロンプトは、チャットを閉じると流れて消えてしまいます。けれども、手順をファイルとして残せば、翌日も、その次の日も使えます。
「この確認項目を追加した方がよい」「この形式の方が読みやすい」「ここはAIに任せず固定した方がよい」。こうした気づきをレシピに書き足していけば、AIは自分の仕事に少しずつ合うようになります。
AIを使うたびに、答えだけでなく、次回を楽にする仕組みも残していく。それが、AI活用を一回限りで終わらせない方法です。
型に残した修正は、次の作業からすぐ使える自分の資産になります。まずは、よく作る料理を一つ選ぶ
最初から完璧な仕組みを作る必要はありません。むしろ、よく繰り返す小さな作業を一つ選ぶ方が、始めやすく、改善の効果も分かりやすくなります。
次にAIへ何か頼むとき、「どう書けばうまく伝わるか」と考える前に、次の問いを思い出してみてください。
これは、前にもやった作業ではないか。これからも繰り返す作業ではないか。
答えが「はい」なら、その作業をレシピにします。
最初は、手順を箇条書きにするだけで十分です。何を入力するのか、どんな順番で処理するのか、どんな形で出力するのかを書く。使ってみて不便なところがあれば、次の機会に一行だけ直す。それで立派な型づくりが始まります。
AI活用で最初に身につけたいのは、難しいプロンプトの技術ではありません。繰り返している作業に気づき、それを小さなレシピとして残す習慣です。
自分が言いたかったこと
AIを使うたびに、毎回新しい指示を考えて疲れる必要はありません。自分が何度も繰り返している仕事を見つけ、その仕事のレシピを一つずつ残していけば、AIとの分担は少しずつ安定します。
小さなレシピを増やし、必要なときに組み合わせ、使うたびに育てていく。その積み重ねが、自分の仕事を理解した、頼れるAIの仕組みになります。
AIに仕事をお願いするだけでなく、自分の仕事の型を育てる人になる。これが、私が今日伝えたかったことです。
今日も、FIREまで寄り道しながら。自分たちの選択肢を、一つずつ増やしていきます。